Mountain information
==Japn Northern Alps Mountain Trail==

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■秋の上高地・涸沢は混雑するだろうと、「上高地・中ノ湯」から「安房TN」を抜けて、「平湯」〜「新穂高温泉」に向かう。
「双六岳」〜「笠ヶ岳」は3日間雲一つない快晴に恵まれ、飽きるくらい槍ヶ岳〜穂高連峰を3日間見て過ごした。山の上は朝0℃と低く初冬のような寒さだった。
※(写真は一部のみUP中)
(1)朝靄の新穂高温泉;
安房TNを抜けたら飛騨側は激しい雨が降っていた。信州は天気が良かったのに・・・。朝の新穂高温泉は冷たい雨は上がったものの深いガスに覆われ、温泉の匂いが漂っていた。標高約1090m新穂高温泉着。
(新穂高温泉;6:00発,天候;霧,気温;5℃,無風)
(2)ぶな林のワサビ平へ;
鎌田川を渡って左俣谷を歩く。新穂高温泉の登山者用Pからダートの林道を登り始め、約1Hでワサビ平小屋に到着。小屋付近の林道沿いはぶな・ミズナラ林がきれいだった。「ワサビ平小屋」には数名の登山者がいた。
(ワサビ平着;7:00,天候;霧,気温;5℃,無風)
(3)雲上の鏡池へ;
林道を分かれて広い河原に出て「小池新道」登山口から登り始める。小池新道は土の道ではなく殆どのコースが岩や石畳の登山道。灌木の間を石畳の登山道が続く。秩父沢から涸れた沢を渡って樹林帯を登っていくと開けた場所にでる。ここまでは
深いガスに包まれ、この日は山の展望は無理かなと思って歩いていたら、シシドウガが原(標高2200m)に出ると雲一つない青空が広がっていた。夏の暑さの影響なのか紅葉は1週間程度遅く、木々が黄色く紅葉し始めていた。シシドウガが原から約1H。
少し急な道を登ると湿地に出る。そこが「鏡平」(標高2300m)。突然、眼前に「槍〜穂高連峰」が現れた。「鏡池」に映し出された槍・穂高連峰とコメツガの木はきれいな風景。ここに泊まれたらと思うほどきれい。暫く湖畔の木製のテラスで休憩。
木道を少し行けば「鏡平山荘」。「鏡平山荘」(標高2300m)は展望の良い山小屋で、小屋前の休憩所にはたくさんの登山者がいた。
(鏡平着;10:30,天候;晴れ,気温;8℃,無風)

(4)主稜線;
「弓折岳」(標高2592m)〜「弓折乗越」(2555m)〜「双六岳」(2860m)への稜線に続く登山道は山を巻いて上っていくが結構きつい。
見晴らしは良く、槍ヶ岳・大喰岳・南岳・キレット・北穂〜涸沢岳〜奥穂〜ジャンダルム〜西穂岳が一望できた。槍ヶ岳から続く西鎌尾根が迫力があった。約1時間で笠ヶ岳〜双六岳の分岐点「弓折乗越」に着く。
(鏡平着;11:30,天候;晴れ,気温;10℃,無風)

(5)寒かった双六岳;
稜線に出てから西鎌尾根〜槍ヶ岳を見ながら幾つかの山を登り下りする。登山道には長さ5-10cm以上の霜柱が降りていた。ザクザクと霜柱を踏み込んで歩く。「双六岳」(2860m)と「樅沢岳」(2755m)とのカールの奥には「鷲羽岳」(2924m)、
その手前に「双六小屋」(2600m)が小さく見え、小屋の手前には「双六池」が望めた。暫く樅沢岳を巻くように双六池の湖畔を通って双六小屋に着く。弓折乗越から約1H。
1番目にテントを張った(150張,\2000/1人)。テントはこの日約30基が埋まった。窪地に建つ双六小屋前は2024.7/10〜10/20までの営業。双六池前のテント場は広くて良いが吹く風は冷たい。星空がきれい。
笠ヶ岳山荘は2024.10/10、わさび平小屋は2024.10/20、鏡平山荘は2024.10/15、双六小屋は2024.10/20までの営業。
(双六岳着;12:30,天候;晴れ,気温;8℃,微風)

(6)未明に樅沢岳に登ってご来光;
小屋の主人に「槍に隠れてご来光は見られないかも」と云われたが、5:30頃のご来光を見るために、4:00に起床して樅沢岳を登る。未明の夜空は満天の星が輝いていた。しかしこの日の朝は寒かった。気温は0℃。早朝の双六池の周囲は
一面に霜が降りて真っ白、池の畔が一部凍り始めていた。冬用のシュラフだったのでそれほど寒くはなかったが、テントのグランドシートは真っ白に凍り、ペットボトルの水は少し凍っていた。
(双六池;4:00,天候;晴れ,気温;-1℃,無風)

樅沢岳は双六小屋から目前に聳える西鎌尾根の山。小屋から約30分。樅沢岳山頂からは快晴の空にご来光を拝めた。大天井岳から登る太陽。暗闇が徐々に明るくなり夜明け。オレンジ色に染まる東鎌尾根の上、大天井岳〜北鎌尾根・槍ヶ岳・
穂高連峰のシルエットは美しい。いつもは蝶ヶ岳・常念岳の常念山脈側から槍〜穂高を見ていたが、飛騨側からの山岳風景もなかなか良かった。朝日が反対側のなだらかな双六岳を赤く照らしていた。
★月と双六池、双六池と笠ヶ岳★


(7)双六岳から「笠ヶ岳」。「秩父平」;
鏡平から下山しても良かったが、折角来たので独標「笠ヶ岳」に向かった。この日は雲一つない快晴。この年一番の快晴。朝から夜まで全く雲がありませんでした。何と今回の3日間は全く雲がなかった。笠ヶ岳山荘のオーナーは
「こんなことはメッタにないよ」って。
(双六小屋;6:00発,天候;晴れ,気温;-1℃,無風)
双六小屋から来た道を戻って「弓折岳」(標高2588m)の鞍部へ。弓折乗越。ここまで約1H。眼下の鏡平山荘から登ってくる長い登山者の列。程なくして弓折岳。「大ノマ岳」(標高2662m)までは下り・登りする。秩父平までは下り一方。
標高2400-2500mに広がるカール形の「秩父平」はマイマツと湿地の草原に覆われ、そこから見える秩父岩の奇峰の林立。休憩には良い場所。弓折岳から秩父平まで約2H。池塘周辺では初夏にはたくさんの高山植物花が見られそう。
(秩父平;9:00着,天候;晴れ,気温;10℃,無風)


★★
(8)「秩父平」から「笠ヶ岳分岐」・「笠ヶ岳キャンプ場」まで;
ここから稜線(2790m)までは標高差300-400mの登り。岩屑を登っていくが結構きつい。稜線に出ると始めて「笠ヶ岳」が望める。遠くに見える笠ヶ岳まで稜線の登山道が続く。多少のアップダウンの稜線歩きは気持ちが良い。
抜戸岳(2813m)の先にある「笠新道分岐」に約1Hで着く。ここから「笠新道」を通り、新穂高温泉に下れる。(11:30着,天候;晴れ,気温;14℃,無風)
ここから新穂高温泉まで4Hとの看板。笠ヶ岳山荘までは約1H強。天気が良いので笠ヶ岳に向かうことにした。抜戸岳〜笠ヶ岳への稜線は静寂さと眺望の良さ。稜線上にある抜戸岩は岩の間を通ると笠ヶ岳山荘までは最後のキツイ登りが続く。
分岐から歩いて約1Hで岩塊のキャンプ場へ。即テントを張る。この日も1番乗り。テント場は風が強いのか石が積まれていた。テント場から歩いて約10分に「笠ヶ岳山荘」が建っている。テント場の水場は涸れており、水は山荘の炊事場で汲めた。
この日のテントは10張と空いていた。
(12:30着,天候;晴れ,気温;14℃,無風)

(9)「笠ヶ岳山荘」から「笠ヶ岳山頂」
笠ヶ岳山荘からの展望は最高。まさに大パノラマ。槍ヶ岳(3180m)・大喰岳(3101m)・中岳(3084m)・南岳(3033m)・キレット・北穂高岳(3106m)〜涸沢岳(3110m)〜奥穂高岳(3190m)〜ジャンダルム(3163m)〜西穂高岳(2909m)が一望。
笠ヶ岳山頂(標高2898m)へは約20分。小屋前にザック置いて岩畳のような登山道をひと登り。山頂からは白山、能登半島、日本海の水平線、御岳(3067m)、乗鞍岳(3026)、富士山と南ア、黒部五郎岳(2840m)、薬師岳(2926m)、水晶岳(2985m)、
鷲羽岳(2924m)、燕岳(2763m)などが望めた。山頂は風もなく日当たりが良くて暖かく、TシャツでもOKでした。1時間程を費やした。笠ヶ岳山頂の看板は昔のものを使用。山頂であと14山と騒ぐ叔父さんがいた。何でも百名山まであと14峰とか。
この時初めて「笠ヶ岳は百名山なんだ」ってことに気がついた。(13:00着,天候;晴れ,気温;16℃,無風)
笠ヶ岳は1683年円空上人が初登頂し開山したとされる。1823年播隆上人が笠ヶ岳を再興。頂上からの槍ヶ岳を臨んで5年後に槍ヶ岳を開山したという。

笠ヶ岳山荘のオーナーと岐阜県警山岳警備隊と、山小屋の話をしたり、写真を取ったりして時間を潰していた。
「快晴なので登山者に喜んでもらえたことでしょう」とオーナーもご満悦。山小屋は混雑していたので、テントの方がゆったりできたのでは」と。
山岳警備隊員は「毎日、県警のヘリ(若鮎)で穂高を飛び回っているけど、こんなに良い天気は久しぶり。定期便のように朝10:00にはガスが立ち込め始め、午後には曇ってしまうのに。今日のお客さんはラッキーだよ。山にはたくさんの登山者が
出ているので山岳遭難が心配」とお仕事に気配りしていた。オーナーは「たくさんの人が山頂にいる。槍・奥穂・西穂の山頂も人で一杯」と双眼鏡で確認していた。山小屋のゴミ問題についても話してきた。「うちでは、途中(山)でゴミを
捨てられるよりはマシだという方針でゴミ箱を設置した」。テント泊者にはホントに良い山小屋。小屋内の畳部屋は夕食までは無料で貸してくれたし、食事も小屋内でできる。トイレも洗面所も無料で貸してくれます。「お金を取ってまで施設を
立派にすることはない。山は本来自然のままが一番良い。テント場もきれいに使ってくれれば本当は無料でもいい」とオーナー。(テント泊;\2000/1人,30張)
山小屋新築した際、小屋前のテラス下に水槽を作ったので水不足には心配なくなったという。テント泊者にも無料で水をくれた。小屋閉めの10/15まで営業予定であと1回荷揚げ、その後は「山降ろし」を始めるという。夕日で槍・穂高が赤く染まっていた。
夜は満天の星空の下に槍・穂高のシルエットが見え最高。麓の新穂高温泉郷の明かり、そして槍の肩の小屋、穂高山荘、西穂山荘、乗鞍山荘の山小屋のライトが良く見えた。
(10)快晴の朝を迎えた「笠ヶ岳」
快晴の朝を迎えた「笠ヶ岳」。テント場は最高のローケションで寝ながらにして槍・穂高が正面に見られた。テント場に積まれた高い石塀はその風の強さを想像させられるが、この日は無風に近い、最高のコンディション。ご来光は槍・穂高の
向こう側なので拝めませんでしたが、段々と明るくなるにつれて黒から青、青から黄色・オレンジ、白に変化する空と、槍・穂高の稜線はきれい。
南には御岳・乗鞍岳、南東には富士山、甲斐駒ヶ岳、千丈ヶ岳、北岳の南ア、東は北鎌尾根から槍ヶ岳・大喰岳・中岳・南岳〜大キレット〜北穂・涸沢岳・奥穂・ジャンダルム・
天狗の頭(2909m)・間の岳(2907m)・西穂(2909m)。奥には白い花崗岩の燕岳〜北燕岳の稜線、北には双六岳、鷲羽岳、水晶岳、黒部五郎岳、薬師岳、西には白山と一望できた。時折、穂高側から吹き上げる風は冷たく、秋から冬の訪れを感じた。
(笠ヶ岳;5:00,天候;晴れ,気温;3℃,無風)

「南岳〜大キレット〜北穂・涸沢岳・奥穂・ジャンダルム・天狗の頭・間の岳・西穂」(笠ヶ岳テント場にて)

(11)快晴の「笠ヶ岳」から笠新道を下山。杓子平;
「笠ヶ岳」から「新穂高温泉」に下山。(笠ヶ岳;6:00,天候;晴れ,気温;5℃,無風)
来た道を「笠新道分岐」まで戻る。約40分。笠ヶ岳テント場(標高約2800m)から一気に標高1000mまで下る。笠ヶ岳山頂から新穂高温泉までだと標高差1810m。槍の穂先から上高地でも標高差が約1600mだからその上をいく。稜線からガレ場を
ジグザグに下っていくと杓子平に到着。ここまで山小屋から約1時間。美しい草原からは笠ヶ岳山荘・笠ヶ岳が望めた。既に一部の木々は紅葉し始めていた。笠ヶ岳には杓子平氷河によって浸食された播隆平カールと杓子平カールが存在し、
杓子平カールは上段と下段に分かれる。杓子平は初夏にはお花畑がきれいなところですが、今はもうチングルマの綿毛が揺れていた。
「日本三大急登」と呼ばれるキツイ笠新道だが下りもしんどかった。足はガクガクに。デジカメは電池切れで写真は取れず。(杓子平;7:00,天候;晴れ,気温;5℃,無風)
(12)杓子平から「ワサビ平」の林道;
一旦、杓子平の底(標高2450m)まで下って再び標高2500mまで登る。ここからの展望は最高。この先は一山越えて樹林帯に入っていく。笠新道には標高差1300m〜標高2000mまで100m毎に看板が建っている。とにかく岩場の多い登山道で疲れる。
ダケカンバから針葉樹林帯に入り、ぶな・ミズナラの原生林が生い茂るところまでくると、下の沢音が聞こえ出す。沢音が聞こえてもまだまだ長い。この日、登りの登山者は約10人に出会っただけ。麓のワサビ平の林道に到着。やったって感じ。
笠新道入口の水場の水が美味しかった。(林道着;9:30,天候;晴れ,気温;13℃,無風)
(13)ワサビ平から車で「新穂高温泉」に下山
後から車が「プ・プー」。軽トラから降りてきたのは「笠ヶ岳山荘」のオーナだった。あれ?。オーナーは軽トラックで荷揚げしていた。「昨日はたいへんお世話になりました」と声をかけたら、「早かったネ。気をつけて返って下さい」と。
歩き始めて10分。「下まで行くなら乗っていきな」と云われ、何と新穂高温泉まで車で下山。歩いて約1時間かかる道のりをタダで乗せてもらえた。下山する登山者を横目に申し訳なさそうに乗車していた。営林署や砂防工事、山小屋関係者しか
通れないこの林道に車で走れるとは。約20分で新穂高温泉に到着。ホットにラッキーな下山でした。オーナは「河原にあるいい露天風呂まで乗せて行ってあげるよ」と云われたが、さすがにそこまでは。新穂高温泉の駐車場まで乗せて頂きました。
ありがとうございました。帰宅してから感謝の手紙を山小屋に送った。
(14)「新穂高温泉」で入浴;
登山後は温泉入浴。日本一露天風呂が多い奥飛騨温泉郷。多数の日帰り温泉がある中でどこにしようか迷ったが、道路沿いにある「ひがくの湯」に入浴。ホントは河原の露天に浸かりたかったのですが、朝の新穂高温泉は気温10℃と寒く、
とにかくお湯に浸かりかった。幸いにも入浴者は1人だけでのんびりと山歩きの疲れを癒せました。「錫杖岳」(標高2168m)を臨む露天風呂で広い湯舟の岩露天風呂。一部泡風呂。湯は単純温泉でぬるめの湯。源泉かけ流し、湯量は400L/分と湯量は
豊富で温泉が流れ出ている。湯温は源泉68℃。透明・無味・無臭。効能は神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・打身・冷え性・疲労回復・健康増進など。(9:00-20:00,\950/入浴料)
(問)新穂高温泉「ひがくの湯」 TEL 0578-89-2855
(15)「新穂高温泉」から「松本」へ;
新穂高温泉から平湯まで約19km。「乗鞍スカイライン」は通行可で「乗鞍岳」にはまだ雪がなかった。「安房TN」料金所から青い空に白い岩肌の「焼岳」が望めた。上高地側に抜けて、上高地の信号ではこの時間というのに上高地入りする、
観光バスやタクシーで長い列ができていた。道路も渋滞。途中の「沢渡P」は満車。上高地は相当の人出だったことでしょう。