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今日の出来事



☆三郷村の黒沢ダム建設計画(その2)☆
★2002.6/7;県治水・利水ダム等検討委員会は浅川と砥川ダム建設について、画期的な「ダムによらない河川改修案」を知事に答申した。終的な答申はダムを求める委員の強い要望を受けて、検討委に示された答申案に「多数を優先」してダムに よらない案を選択したこと、「ダム建設案を支持する意見もかなりあった」ことが付記された。
☆委員会答申の要旨☆
(基本高水だけでなく地質、環境、財政などさまざまな要素を検討対象にした。これらはそれ自体として意見が分かれ、必ずしも一義的な解答を求めることができないうえ、それぞれの要素をどのような順序で価値付けしていくのについても、 ほとんど意見の一致を見ることができなかった。さらに大きな論点として、ダムを造るにせよ、中止するにせよ、費用の大部分を国が負担しているという制度的現実がある。それは「補助金の返還」問題など国の意向がおおいに反映する形で、 各委員の判断に影響した。そのため国の動向を知る努力を行ったが、国も河川政策の大きな転換にあたりさまざまな実験を開始した。さらに国も自治体も財政危機や公共事業見直しの動きを受けて極めて早いスピードで政策対応を行いつつあり、 委員会は確定的な情報がないまま、困難な中で結論を出さざるを得なかった。委員会審議の概要、委員から寄せられた意見を総合し、さらに、多数の意見を優先して、委員会は浅川・砥川の総合的治水・利水対策として、「ダムによらない 河川改修単独案」および「それに対応する利水案」を答申する。なお、ダム案もかなりの支持があった)
しかし、この結果は「黒沢ダム」など他のダム建設計画にも影響が出そう。ダムによらない治水を目指して活動する県内外のダム建設反対団体で作る「脱ダムネットワーク」は結成1周年の大会が開かれ、長野県検討委員会が「ダムによらない治水案」を 知事に答申したことを高く評価した。6/8:「脱ダムネットワーク」の設立1周年記念の長野県民集会が長野で開かれ約500人が参加。脱ダムネットワークは長野県知事の「脱ダム宣言」の理念を全国に広げようと2001年5月に発足し、約100団体で 構成。しかし、6月長野県議会では巻き返しが予想されるとし、ネットワークとしての協力を呼びかけていた。検討委員会の委員でもある新潟大教授は「日本の自然と川を考える」と題して講演、「ダムは副作用をともなう劇薬」と「脱ダムは妥当」と。 (2002.6/8)

★6/10;長野県河川課は長野県知事に提出された浅川と砥川ダム建設について「ダムによらない河川改修案」の答申書を、ダムを所管する国交省にその経緯を説明した。これに対し国交省は「長野県がダム以外の治水対策を最終的に決めたわけでは ないため、国として事業を認認可するかどうか現時点では判断はできない」と答えたという。ダム計画を断念した場合、国がこれまで支出した補助金の返還を求めるかどうかについて、国交省では住民の意思や地元の市町村などの意見もふまえて ダム計画が中止に至ったプロセスがはっきりしていれば返還を求めないこともありえるとしている。(2002.6/10)

★2002.6/9;「県治水・利水ダム等検討委員会」の「第4回黒沢川部会」が豊科町で開かれた。浅川、砥川について検討委が委員の「多数を優先」してダムなしの対策を答申したことに関し、宮沢敏文県議は「答申は具体的な論拠がなく多数決で 決まった。部会でいくら論議しても結局は多数が制するということならば部会参加者に悲哀が残るだけ。検討委がそういう方針ならば、この部会も最終的には多数決を取らざるを得ない状況になる。多数決をとらない方針だったのに大変な問題」と 述べた。しかし他の委員からは「部会は地元住民の立場で河川対策を議論するもので、検討委の結果を持ち込むべきではない」、「先入観を与えず、部会は部会なりの結論を出すべき」、「部会の結果は尊重してもらいたい」、などの意見が相次いだ。 結局、部会長が「多数決は選択肢の一つではあるが、審議しなければ分からない。今後の部会のあり方も踏まえて議論を進めていくことが必要」と述べた。会合では周辺町村の利水状況や治水計画の考え方、WGが行った森林の保水力調査の報告などが 行われた。黒沢川の基本高水流量(想定される最大洪水量)についてはダムの有無にかかわらず、30年に1回の割合で起きる程度の洪水量(毎秒215t)を原則とする方向で固まった。30年に一度の大雨に耐えられるようなダム計画を治水対策としてきたのに 対し委員からは「大きな洪水は何度もあった。50年に1度の洪水に備える治水を考えるべき」との意見も。しかし「同規模の他の河川を見ても、30年規模の治水策でやっている」、「対策を急ぐため、まず30年規模で進めてほしい」といった声が強く、 30年規模で議論していくことになった。今後、黒沢川下流の万水川を視察する。県計画のダムを造らなかった場合、万水川が30年に一度の大雨に耐えられるかどうか検討する材料になる。次回は6/21、検討委の森林WGの報告など。(2002.6.10)

6/20;長野県議会開会へ。6月定例議会は6/20〜7/5の16日間。一般質問は4日間、初のインターネットで本会議中継。生中継/録画で県側の提案説明や一般質問を流す。録画映像は次の定例会が始まるまで見ることができる。 (6/20;開会,6/25-6/28;一般質問,7/01-7/03;委員会審議,7/05;採決/閉会)
浅川と砥川について「ダムによらない治水・利水策」とした県治水・利水ダム等検討委員会の答申に対する長野県知事の方針が最大の焦点。ダム事業などを審議する公共事業評価監視委員会の知事人選による新メンバーを発表。(2002.6.14)

★2002.6/18;豊科町、穂高町、堀金村でつくる「万水川改修促進期成同盟会」は、豊科町役場で開かれた総会で、「県治水・利水ダム等検討委員会」が建設の是非を検討している影響で、2002年度は護岸整備が止まっているため、長野県に早く 早期改修を求めていくとした。豊科町長(同会会長)は「現在は検討委員会の結果待ち。一日も早い整備に向けて取組む」
県営黒沢ダム計画のある「黒沢川」の下流にあたる「万水川」。穂高のわさび農場脇を流れているあの水車小屋のあるきれいな川。万水川は全長約8kmの川で、堀金村烏川の農業用水路「拾ケ堰」を起点に豊科〜穂高〜明科町で犀川に合流しています。 工事区間は約7.4kmうち2.7kmは未改修。2002年度は橋陵整備が予算化されている。確かに護岸工事は必要なのだろうが、既に出来上がった一部の川岸(黒沢川や万水川)をみるとコンクリートで少し味気なくなった気がする。(2002.6.19)

★2002.7/6;三郷村黒沢川上流に建設計画がある「県営黒沢ダムについて考える集会」が三郷村総合営農センター中菅分館で開催。主催は「安曇野を愛する会・考える会」連絡会。「県治水・利水ダム等検討委員会」が8/中に意見集約を 目指す。その内容を住民に知ってほしいと。この連絡会は北安・南安の4つの団体で構成されており、「ダム以外の方法で治水・利水」を願っている。現地視察を踏まえ、信大理学部が講演。黒沢川流域住民、部会委員、部会の参加者らが部会の内容を 報告する。(2002.7.4)

■2002.7/5;長野県知事への不信任決議後初の県治水・利水ダム等検討委員会の部会となる「黒沢川部会」が7/9に豊科町で開かれた。不信任に賛成した県議、浅川・砥川の答申で「ダムなし案」を支持した学者も姿を見せず、地域住民の委員からは 「他の河川はどうでもいいのか」と怒りの声も。黒沢川部会では7/9に流域視察。治水対策を検討する材料にするために河川改修が進む黒沢川と未改修部分も残る万水川を視察した。県南安曇庁舎で6回目の議論。ところが答申で「ダムなし案」を 支持した新潟大工学部教授、宇都宮大名誉教授は「都合がつかない」と欠席。県議も欠席。議論は地元首長や住民委員だけで進められ、流域の森林の状態などについて話し合った。住民委員からは委員の欠席を批判。不信任決議とは関係なく、 流域住民の安全を議論していくべき。「砥川と浅川だけで他の流域はどうでもいいのか」との厳しい非難もあった。委員は今後、これまでの論議や視察などを踏まえてそれぞれの治水・利水対策案を作成し、次回会合(7/17)で検討する。 7/26;部会の総合対策案を作成する。8月に公聴会を経て部会報告書を作成予定。(2002.07.10)

■7/17;三郷村の県営黒沢ダム計画の是非を論議する「県治水・利水ダム等検討委員会」の「第7回黒沢川部会」が豊科町で開かれた。各委員が治水・利水対策案を報告。対策案を示した15人中9人が、現計画の多目的ダムを基本にした治水・ 利水対策を提示。ダムを使わない案は、遊水池、河川改修、森林整備など組合せる治水策と、地下水や現在の砂防ダムを使った利水策の提案があった。ダム反対派は「川は氾濫するものとの前提で洪水と共存する治水対策」をと。一方、ダム賛成派は 「どこで氾濫させるかが問題。洪水ありきは納得できない」と。また「遊水池を造るスペースはない」と反論。次回は7/26。(2002.7/18)

■7/25;長野知事の不信任後初の「第15回県治水・利水ダム等検討委員会」が開かれた。浅川と砥川について知事が示した「ダムなしの治水・利水対策の枠組み」に委員から不満が相次ぎ、黒沢川などの3部会の審議を知事選(9/1;投開票)後まで 凍結することを決定。検討委の次回会合は9/17。新知事が決まるまで審議が事実上中断。「ダムなし」答申をまとめた6/7の検討委以来、約1ヶ月半振りに開かれた検討委では、検討委員会の役割、位置づけ、答申の意味などをめぐって議論が 集中した。「脱ダム宣言と枠組みの作成を行った前知事が失職したので審議を続けるべきではない」との声。また、黒沢川部会長の安曇村議会議長は「枠組みで示されたダムなしの利水対策が他の河川にも前向きにやってもらえるのか」と 県側をただした。県側は「枠組みは浅川と砥川に限ったもの。他の河川は答申を受けてから」と。7/26;黒沢川部会は開催するものの、その後は新知事が決定するまでは審議を行わないことになった。(2002.7/26)

■8/1;南安曇郡町村議会議員大会が豊科町の県南安曇庁舎で開かれた。三郷村議会は地元の「黒沢ダム」の早期着工を要望。出席議員からは「県治水・利水ダム等検討委員会で審議中であり、方向性が出るまで要望を出すべきではない」などの 反対意見も出たが賛成多数で採決された。他にR158改良促進、国営アルプスあづみの公園へのアクセス道路早期整備などを求める議題も採択。今後、国や県に働き掛ける。(2002.8.2)

■8/27;「県の治水・利水ダム等検討委員会」の「黒沢川部会」で建設の是非が議論されている三郷村「黒沢ダム」について三郷村公民館で市民グループによる公開学習会が開かれ約50人の住民らが参加。企画は穂高町の環境NGO 「安曇野環境ふぉーらむ八面大王」で県営黒沢ダム計画地周辺の自然環境と住民自治をテーマにした公開学習会が開かれた。同ふぉらーむはゴルフ場問題や高速道路問題に対して調査をもとに提案してきた。今回はダム問題をもっと 住民らに知ってもらおうと環境問題をテーマに活動するジャーナリストを講師に招いた。ビデオの上映も開かれた。脱ダム問題についても著作がある。黒沢ダムについて「水のつくる自然は本当に奥が深い。脱ダムは治水・利水を 離れ、政治そのもの」などと話し、ダム問題について慎重な議論を求めた。知事選で審議が止まっている黒沢川部会の報告があり、参加者からは「建設予定地の地質に問題は?」、「現在の砂防ダムから水をとっているのは目的外利用にならないのか?」 などの質問が飛んでいた。(2002.8.29)

■8/30;県治水・利水ダム等検討委員会は、三郷村「県営黒沢ダム」建設予定地周辺の地質調査を行った。検討委員の松島信幸氏(地質学)がダム基準軸に設けた調査用横坑など4地点で岩盤の硬さなどを調査。9月下旬にも開く黒沢川部会に 調査結果を基に意見書を提出予定。建設予定地周辺の地質調査は、長野県が1991年〜2000年にかけて行い、同部会に「ダム建設に支障はない」と報告済。今回は部会側が報告の是非を問うために調査を要請。県の調査を行ったコンサルタント会社も 出席し、委員らに現地の地形などを説明。「周辺の岩盤は硬いが無数の亀裂が発生していると話した。(2002.8.31)

■9/24;「県の治水・利水ダム等検討委員会」の「黒沢川部会」が三郷村で開かれ、委員16人が出席し対策は以下の2案に絞り込んだ。
1)小規模ダムと遊水池の整備、地下水利用などの折衷案(9名)
2)遊水池を整備、地下水を利用する案(6名)
※多目的ダム中心の案は不採用となった(0名)
これまでの計画では、県営黒沢ダムは多目的ダムで、高さ約61m×堤の長さ172m、総貯水量74万m3。総事業費150億円。1991年度に事業が採択されていた。今回の部会の結果、県は折衷案とダムなし案で、想定する遊水池の位置や 規模などを整理することになる。委員会ではこれに先立ち利水問題などを議論。県側が水資源開発の助成制度を検討するとしたことについて「補助制度が期待できるのなら、コスト面で答申が大きく変わる」、「もっと詳しい説明を」と。また、 8月にダム建設計画地で行った地質調査結果を報告。「短時間の観察なので確実とは言えないが、計画地近くの地中に空洞がみられる」とし、「県が部会に提出した報告書はそのまま評価できない」と指摘。11月中には部会で1案に決定される予定。 (2002.9.25)

■10/16;三郷村の黒沢ダム計画の是非を論議してきた「県治水利水検討委員会」の「黒沢川部会」は「ダムなし案」を報告する。豊科町で開かれた「第10回目黒沢川部会」で16人の委員が出席し、洪水対策や水道水源の確保などについて規模の 小さなダムを建設した場合と、建設しなかった場合の2つのパターンを比較。「ダムを建設してもそれだけで洪水は防止できない」などとして「黒沢ダムの建設中止」し、ダムによらない方法で洪水対策などを行う報告をまとめることで合意。 洪水対策については数か所の調整池を設けるほか水道水や農業用水については地下水の利用を検討する。会合ではこれまで検討してきた「小規模なダムと河川改修案」と「ダムによらない遊水池や地下水の利用案」について話し合い次回までに 部会案を取りまとめる。
部会のダムなし案では黒沢川下流域の洪水対策として、ダムに代わって計29万tの貯水能力がある「調節池」をダム計画地の下流約2km地点など数カ所に新設。新たな河川改修はしない。利水面では黒沢川から三郷村の水道用水4100tを取水。 ほかに既存の井戸と新たに設置する井戸から計5500tを確保し、村の将来の水需要増加にも対応。現在、取水している農業用水は「黒沢川以外から得る」とした。
公聴会は10/18;18:00〜三郷村温の農村環境改善センタで開かれる。部会では12月初旬にはじめに県の検討委員会に「ダムなし案」が報告される。(2002.10.16)

■11/01;三郷村に計画されている県営黒沢ダムの是非を論議する「県治水・利水ダム等検討委員会」の「第11回黒沢川部会」が開かれた。前回、部会として「ダムなし案」で報告することになり、影響を受ける地元土地改良区の関係者らとの 11/15説明会を開く。11/18予定の公聴会は11/30に延期。ダムなし案に必要な費用を算定した県検討委の財政WGは、黒沢川以外からの農業用水取水を盛った同案が地元農家の了解を得られるか疑問として、ダムなし案を県検討委に持ち帰って 論議した上で、費用の算定結果を部会に報告する。公聴会の延期は黒沢川の水利権を持つ中信平左岸土地改良区の黒沢水利組合が水利権放棄に難色を示していることから、まず、ダムなし案を地元に説明した上で公聴会を開くことになった。 (2002.11.2)

■三郷村の黒沢川の治水対策でダムなしの場合、地元の負担額は95億円。
11/15;三郷村公民館で開かれた「県治水・利水ダム検討委員会」の「第12回黒沢川部会」でダム建設、ダムなしの試算値が財政WGから発表された。黒沢川部会では「ダムなし案」を採用。今回の部会では検討委員会から審議を求められていた 維持流量(渇水時における維持すべき流量)と水利権調整の問題などを話し合ったが結論は出なかった。次回、黒沢川の維持流量を2300m3/1日とする部会長案を示し議論をまとめたい考え。
1)黒沢川ダム建設の場合;今後100年間にかかる費用は177億円。
※ダム建設の場合;地元負担37.7億円。
2)ダム無しの場合;170億円。
※費用の内訳;国費49億円、県費26億円、地元負担95.3億万円。ダムなし時、地方交付税の対象にはならないため、地元負担は一挙に54.2億増加。
地元の三郷村民ではこの結果に困惑しています。今後、11/30;三郷村公民館にて「公聴会」、12/4;三郷村農村環境改善センタにて「第13回黒沢川部会」が行われる。(2002.11.15)

■12/04;三郷村公民館で開かれた「県治水・利水ダム検討委員会」の「第13回黒沢川部会」が開かれた。黒沢川の現在の流量を確保した上で、水道水を1800t/日を取水する案と、地下水から取水する案を「県治水・利水ダム検討委員会」に 報告し、2案にかかる費用を試算する財政WGに求めることにした。河川維持流量をゼロにして黒沢川から水道水を日41000t得る部会案はやめることになった。現在、黒沢川から農業用水を得ている地元の利水組合が、他の河川から水を得ることが 不可欠となる。新たな利水権を求めるには地元手続きなどの負担が大きくなるため、全てを地下水とする案も付加した。次回の部会は12/26で費用試算の説明があり、2003.1/中には公聴会が開かれる予定。(2002.12.5)

■12/06:「第18回県治水・利水ダム等検討委員会」が開かれ、部会で論議の焦点となっている課題について審議。ダムによらない利水代替案を行った場合の財政負担増に不安を抱く市町村の声が各部会長らから示された。「ダムで利水対策を行う場合、 国庫補助などで水道事業者の市町村の負担は少ないが、ダムなしでは市町村負担がかなり割高。県の手助けの枠組みはどうなっているのか」。「ダム代替案による水源確保策を実施するなら、ダム計画での地元負担額以外は全額を県に求めたいとの 声もある」と。
黒沢川部会の委員は「村が試算しており水道料金が2倍になる。とても住民から理解してもらえない」と話す。また、長野県知事が再選時に掲げた利水支援の公約について、必要な財源を確保できるのか?具体的内容は?、説明を求める意見も。 県の財政支援について明確な基準を求める声があった。一方で、利水財政WGは「代替策実施の際の県補助は、ダム計画の県負担額を限度額として検討すべき」として、県の財政支援は水源確保などの初期投資に限るべきだとの見解だった。 長野県は大幅な公共事業カットや事務事業の見直しによる財政再建を急いでいる。検討委で論議される治水・利水対策の位置付けをめぐっても不安を示す声が噴出。次回は12/25。(2002.12.7)

■「黒沢川」は三郷村西部の北アの前山「黒沢山」(標高2051m)を源流とし、「万水川」を経て「犀川」に注いでいる。
12/10;三郷村が黒沢川から取水した農業用水から30年間にわたり、河川法に違反して水道水を取水していることが分かった。以前から違法性を知りながら県営黒沢ダムの建設によって新たな水利権を設定することで問題の解消を目指していたという。 しかし、県治水・利水ダム等検討委員会黒沢川部会は「ダムなし」の方向を確認。その後の議論は滞っているため、早急な改善が困難になっている。村は1972年、当時農業用水の水利権を持っていた南小倉土地改良区から水道水として 日量4800m3を分けてもらう協定を締結。その後、改良区を吸収合併した中信平左岸土地改良区が協定を受け継ぎ、水道水を三郷村に分けている。県河川課によると水利権取得時に目的とした農業用水を水道水に転用するのは、 河川法で定めた流水占有の目的外使用に当たり、違反すると1年以下の懲役か、50万円以下の罰金。三郷村はS30年代後半から黒沢川での水道水利権の取得を申請していた。しかし先に南小倉土地改良区が取得していた農業用水利権の取水許可水量が 実際の川の水量を超えていたため、新たな水利権の設定は認められなかったという。県豊科建設事務所は黒沢ダム計画で河川の水量などを調査した際に違法状態を確認。しかし、農業用水からの転用分が村の水道水の供給量の63%を 占めていることから、「生活に密着した水を直ちに止めることはできない」として行政指導をしなかった。三郷村長は「歴代村長も法に触れると認識していたと思う。実際、大量の水を得ているので改善のしようがなかった」と。一方、 県検討委の「黒沢川部会」は「ダムなし」報告へ向けて詰めの協議中。「ダムなし」に決まった場合、村は地下水に新たな水道水源を求める方針。(2002.12.11)

■12/24;県営黒沢ダム計画の是非を論議する「県治水・利水ダム等検討員会」の「黒沢川部会」は予定していた12/26の第14回会合を延期。次回会合は年明け。次回会合では1月中に開く住民対象の公聴会に示す部会案を協議する予定。(2002.12.24)

■12/25;「県治水・利水ダム等検討委員会」は長野で19回目の会合を開いた。県側が財政事情を説明。治水・利水代替策への支援見通しについては「必要な予算は重点化して配分していきたい」と述べた。財政WGは黒沢川の利水対策費(初期投資分)は ダム案(約13億円)、上水道水源を全量地下水に求める案(約33億円)、水源を黒沢川や農業用水・地下水で確保する案(約36億円)と報告。(2002.12.26)

■県営黒沢ダム計画の是非を論議する「県治水・利水ダム等検討委員会」の「黒沢川部会」は、1/7;部会で「ダムなし」による部会案をまとめる。ここにきて、流量を大幅に超えた農業用水利権設定や村による水道水の違法取水など利水を めぐる問題が羽状している。
「ダムなし」案;1)村の水道水は全量地下水に求めるか、日量300m3を黒沢川から取水する。1)治水は堰で黒沢川とつながる万水川の河川改修と調整池の新設で対応する。
村の負担する初期投資は村の水道水の全量を地下水に頼った場合、井戸の掘削など20億円。ダムを建設した場合の約13億円を大きく超える。三郷村長は「水道料金に跳ね返さざるを得ない」と。2008年には現状のままでも地下水の利用量は現在の 約3.4倍と想定されているため、さらに地下水利用量が増えることで、安曇野のワサビ栽培への影響を心配する声も強い。豊科建設事務所は「どれだけ地下水量が減るかなどのデータがないため、はっきりしたことはいえない」。一方、 地元土地改良区は40年以上前に設定した農業用水利権に基づき、実際の川の流量から計算した場合に許可される日量18003に対し、実際には約16倍の取水の許可を受けている。ダムなしの場合、水利権の大幅な変更は必至で得られる流量が 減る分の農業用水確保も大きな課題となる。部会は改良区が梓川から農業用水を補給する案を示しているが、設備の初期投資の試算は12億円に上る。その上、梓川では取水量を減らす方向で土地改良区間の論議が進んでおり、新たな取水の可能性を 疑問視する声もある。部会の議論でも「ダムなし案」について「現実的でない」との意見もある。脱ダムの理念は黒沢川で果たせるのか?。水道水を使う地域住民の理解と安曇野地域全体の水利用を視野に入れた論議が欠かせない。(2003.1.7)

■1/7;「県治水・利水ダム等検討委員会」の「第14回黒沢川部会」が豊科町で開かれた。「ダムあり」「ダムなし」の両案を提案し、1/25住民の公聴会を開く。部会ではこれまで「ダムなしで部会案」をまとめようとしてきたが最終的には両論併記となる。 本委員会が検討した、ダム案・ダムなし案双方の費用試算、ダムなしの場合でもダム案と同様の補助をすることを県に求める提言が報告された。だが利水をほぼ全て地下水に求めるダムなし案について「村の負担が大きい」「環境面でも必ずしも いいわけではない、下流のワサビ田への影響が心配」など反発の声は根強く、「ダム無し案」に疑問視する声が目立った。「ダム無し案」ではダムと同じ治水効果を持つ調整池を作る。利水については、黒沢川の水を上水道や農業用水に分配して 取水する「水利分配案」と、上水道は黒沢川からは取水せず、すべて井戸水で確保する「上水地下水案」の2案を検討。部会は長野県知事再選後に「ダム無し案」でまとまりかけたが、費用にあまり差がなく、国や県から補助の得られるダム案が 再び浮上していた。部会長は「公聴会での両論併記は本来の姿ではないと思うが、財政や水利権の問題があり、ほかにない難しさがあった」と。そのため、部会長は部会案を「ダムなし」でまとめることを断念。従来の黒沢ダム案とダムなし案を もとに公聴会を開き、住民の意見を聞いて1/19;部会で最終案をまとめる。5人がダムなし案、7人がダム案を支持。2人は態度を明確にせず流域住民らによる住民投票を提案。「脱ダムの理念は理解するが地元は費用を負担し切れない」(ダム案支持委員)、 「節水や水の融通でダムによらない利水を目指すべき」(ダムなし案支持委員)などの意見が出たが公聴会に両案を提示するとの高橋部会長の提案を全委員が了承。部会長は「水利権の問題が予想以上に難しかった。下流部の河川改修はダム計画のもと 進められており、最終案が両論併記となってもやむを得ない」と。公聴会は1/25;13:30〜三郷村公民館で開かれる。(2003.1.8)

■1/15;「県治水・利水ダム等検討委」は、長野で20回目の会合を開いた。知事が公約した「脱ダム債」を利水支援に活用する可能性について、県側は「借金は財産の先行取得に充てるもの。河川改修や森林整備への活用は考えられるが、 市町村の利水事業への助成には現行制度下では適用できない」と見解を提示。黒沢川など利水面が中心問題の部会ではダム案とダムなし案を比較した場合の地元町村の財政負担も判断材料の一つなっている。県治水・利水ダム等検討委黒沢川部会の 公聴会を前に、ダム計画地の三郷村が部会の論点をまとめて村民に配布中の資料について、脱ダム派の部会委員と村民が「ダム推進派に不利な内容が意図的に削除されている」と村に抗議。ダム計画地周辺に県天然記念物の蝶が生育している ことや地下水の取水ができることなど5ヶ所が抜けていると指摘した。村側は悪意があった訳ではないと反論。今後の対応は村長と協議するとした。なお、1/25;住民公聴会では部会案としてダムなし案とダムあり案の両案が示される。(2003.1.16)

■1/25;13:30-16:30;三郷村明盛「三郷村公民館」で「公聴会」開催。
三郷村の「県営黒沢ダム計画」の是非を論議する「県治水・利水ダム等検討委員会」の「黒沢川部会」は1/25;三郷村で開く公聴会の公述人を募集。黒沢川と万水川流域に関係する住民が対象。1人5分以内で部会がまとめた「ダムなし」, 「ダムあり」案の論点を参考に意見を述べる。30人程度。1/23まで。なお、1/29の会合で報告をまとめる。部会長は「多様な意見を寄せてほしい」と呼び掛けている。

■1/25;三郷村黒沢ダム計画の是非について住民から意見を聞く公聴会が開かれた。住民の意見は「ダムあり」「ダムなし」に割れた。公聴会は治水・利水検討委員会の黒沢川部会が開いたもので、地元の三郷村や周辺の住民が意見を述べた。 公述人には事前に66人の申し出があり、来場した45人は抽選順、それ以降の来場者は受付順に発言の順番を待った。申し出が予想以上に多かったことから公聴会を30分延長したが約40人しか公述できなかった。会場には約120人の傍聴者が集まり、 熱心に耳を傾けた。
「ダムなし派」が「ダムは黒沢川流域の自然破壊につながる」などと主張したのに対し、「ダムあり派」は「安定的な水の確保にはダムが必要」などと反論。会場には200人余りが詰めかけ地元のダム計画をめぐる論議に耳を傾けました。 ダム計画案を支持するワサビ栽培農家からは、ダムなし案の一部に地下水利用が含まれていることから「現状でもわき水が減少しており、今以上のくみ上げは死活問題」と、ダムなし案の利水計画ではわき水に影響があることを憂慮。 また、地下水質の安全性を疑問視したり、地下水を使う場合の水道料の負担増を心配する意見も多かった。
ダムなし案支持派はダム建設予定地周辺の貴重な動植物への影響を危ぐする意見が大半を占めた。また「水道水確保にダムを造ることはあまりにも大きな投資」,「飲料水は地下水で対応できるはず」,「危険な地盤に安全なダムは造れない」などの 意見もあった。
部会長は「皆さんから直接聴いた意見を、今後の部会の検討と報告に役立てたい」と。部会では「ダムなし」で部会案をまとめる方向でしたが、その後水源の確保などで意見が分かれたため、最終的に一本化できるかは微妙な情勢。(2003.1.26)

■1/29;三郷村を流れる黒沢川の治水と利水対策は「県治水・利水ダム等検討委員会」の「第15回黒沢川部会」では治水・利水案として流域の河川改修を基本とした「ダムなし案」でまとまりました。周辺の地下水と自然環境については一定期間を かけて調査し、流域住民に情報提供することを求める。それによると、利水については増え続ける水道用水への需要に応えるため井戸を掘って地下水を確保し、不足分は水利権を見直して農業用水から分配することにします。また、治水については 調整池を作ったり現行の河川改修で対応。

会合では、前回議論した「ダム案」と「ダムなし案」を検討。両案への賛否が分かれた公聴会の内容を振り返った。委員からは「ダムなし案では地元の水道料金などが高くなり、理解が得られない」「ダム案は希少動物への影響がある」などの 意見が出されたが、改めて流域調査をし、正常流量や現状の維持流量(渇水時に維持すべき流量)の実態を把握することなどを条件に、「ダムなし案」に意見集約した。部会長によると、報告書では「治水」は調整池と河川改修によって洪水対策を行い、 「利水」は黒沢川の水利権を分配し、不足分を地下水や他の農業用水に求めるという。詳細は今後、検討委などで議論する。また、ダム建設時と同程度の補助金支出を県に求めることになるという。部会終了後、部会長は「結論を一つに絞るのが 部会の使命。非常に難産だったが、皆さん熱心に議論して頂いた」と。「ダムなし案」では利水について、黒沢川の水を上水道と農業用水、雑用水に分配して取水。不足分は井戸を新設して補う。三郷村は黒沢川の水道水の水利権がないが、 現実には1日4800m3を取水し、河川法上問題があると指摘されていた。法改正を含めた水利権の変更と、新規の井戸を設置するまでの水不足を補うため、三郷村に暫定豊水水利権を認めることを県に求めることも条件として付け加える。 また、黒沢川の水の少ない特徴を考慮し、現状の河川維持流量を見直すことも必要とした。維持流量の見直しによっては取水可能量が増えて、井戸の新設が抑えられるという。治水については、ダムと同じ治水効果を持つ調整池を作る。計画中の 万水川の河川改修と安曇野排水路工事は早急に実施を求めることにした。2002年10月の部会でいったんは「ダムなし案」にまとまったが、その後、試算の結果、「ダムなし案」の費用も高額になると分かり、再び審議されていた。委員からは 最後まで「公聴会でダム案を支持する住民もいた」などと「ダムなし案」に異論も出ていた。部会長は「黒沢川の水を現状の中で最大限利用していくという点で一致した。案を一つにしぼるのが部会の使命と考えている」と。
ダム建設案の採用を求めてきた委員も「現状の法制度下を満たす対策ではダム案が最適」との認識は譲らなかったものの、黒沢川の実態に即した法制度の柔軟な運用など、ダムなしの治水・利水対策が実現するまで現状を担保する策を報告書に 盛り込むことを条件に、ダムなし案を了承。部会報告書は、公聴会に示した治水・利水対策のうち、治水については調整池案、利水については水利分配案を原則にまとめ、法制度の変更や水利権者との調整、村の支援について、県などの 積極的な関与や支援を求めていく。ダムなし案が実現するまで現状を担保する策の一つとしては、「暫定豊水水利権」の考えを盛り込む。現行法制度下では通常期に水が余っていても、10年に一度の渇水流量から維持流量を引いた残りの水量しか 取水できないが、三郷村がこの水量を大きく上回ってほぼ安定的に取水できている実態に即し、暫定的に基準を超える流量を取水する権利を認めるよう、関係機関に強く要請する。
部会終了後、ダム案を強く支持していた委員の一人は、黒沢川の流量の数値の再検討や法律、基準の弾力的な運用などが部会報告に盛り込まれたのを理由に、ダムなし案を了承した考えを説明。「現在の知事ではダム案を持っていってもだめと いう気持ちもある」と。ダムなし案支持の委員も「時代や社会情勢の流れの中では当然の結論」と評価しながらも「議論は尽くされたとはいえない」とし、法制度の変更や水利権の調整など多くの問題解決のため、住民も一緒になって粘り強く 解決していく必要を指摘した。
傍聴者から驚きの声が上がるほど急転直下の結論となったが、部会長は現行法制度下の部会論議に限界があるとの認識や、より現実的な方策を探ろうとする意識で各委員が一致できた説明。「難産ではあったが、皆さん非常に熱心にやっていただいた」と 感謝を述べた。このダムなし案の場合水道水源の開発にかかる費用はダムを造った場合より初期投資段階で23億円も多い、36億円。井戸の掘削費用など初期投資。ダム建設の場合の3倍となり、全額地元負担となる。このため部会では県の補助制度の 見直しなどを検討する必要があること、大量に地下水を確保するため周囲にあるわさび田の湧水や他の井戸への影響などが検討課題となることなどを報告書に盛り込み、2/14;「県の治水・利水検討委員会」に報告予定。(2003.1.29)

■2/4;「長野県の治水・利水検討委員会」が長野で開かれ、三郷村の黒沢川について、部会が「ダムなし案」でまとまったことが報告された。
委員会では部会ごとに審議状況などが報告され、黒沢川部会の高橋保部会長は「洪水防止は河川改修と遊水地の整備によって行い、水源確保には川の水と地下水を利用する」とのいわゆる「ダムなし案」でまとまったことを報告。部会が「ダムなし」案を まとめたのは諏訪の上川に次いで2つめで、2/14;委員会で正式報告。(2003.2.4)

■4/24;長野県は「県治水・利水ダム等検討委員会」が審議している4河川についてダム計画を中止、別の水道水源などを確保する場合の地元負担を試算。ダム案と比べ、地元負担が減るケースと増えるケースに分かれる。県補助・国の補助・ 交付税措置を考慮し試算。三郷村黒沢川ではダムによらない場合の利水対策の地元負担金は17.4億(長野県補助あり)。一方、ダム建設の場合は11.8億円。2003.2月に独自補助制度ではダム計画中止で市町村が新規に水源を確保する場合は、 水源調査費用の5割、取水・導送水設備建設費用の2割を補助する。(2003.4.25)

〜続く〜


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